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佐助を苛めたいと思ったら精神崩壊的な方向へ向かった話の導入部。
タイトルの出典が漢書なので無双の調べ物ついでにごぞごぞ手を出すと思いますが、どう崩壊させるかまだはっきり決めていないので予定は未定。他に書きたいものいっぱいあるし、旅行記も書きまくりたいし、これは後回しですな。
「壺中天(TEST TYPE-01)」(猿飛)
戦国、主人公設定特殊、どう頑張ってもバッドエンド。
名前の部分は一人称にしてあります。
この枯れ井戸の底に身を落としてどれほど時間が過ぎたのか、私にはもう判らない。数えるのは数年で止めた。私の身をこのようにした張本人は既にこの世の人ではないだろうことだけは判る。
毎日太陽が昇ると井戸の途中までを照らして沈み、冴え冴えとした月明かりも底までは届かない。星だけを眺めて過ごす。凡その事態には動じないし、何も感じない。いちいちそんなことを気にしていては身が持たないと早々に知った。
それなのに、井戸の底まで照らし出す光を私は見てしまった。唯一無二の存在は太陽でも月でもなく、平平凡凡な子供であった。だが、私にとっては光そのものだった。その光に縋るように、私は外法を使って外見を変え、ずっと後を追ってきた。光は影になったというけれど私からすれば光のままだし、一人の女に会うたびにからかい交じりに想いを伝え、私のことは見ていなかった。それでよかった。それは存在しているだけで私の光なのだ。
猿飛佐助という名の男になった光の下で、私は忍として仕える。己が外法の使い手だと忘れてしまうほどの時間を忍として過ごしてきたような気がしていた矢先のことだった。私の光を外法に落とし込んでしまったのは。
悔やんでも悔やみきれない。だが、そうしなければ私の光はそこで消えていた。引き換えに、猿飛佐助は不老不死の身となった。――私の後を継いで。
「これから何があっても幸村様とお館様をお守りくださいますか! 彼の方々の死を受け入れる覚悟はおありですか!」
「覚悟も何も、最初からそのつもりだ……!」
「その言葉に嘘偽りはございませんね!」
「あるわけ、ないだろ……」
「――主を失い、おのれのみが生き続ける苦しみを永劫味わうことになっても、ですか」
「いいさ、今、旦那の許へ走れるんならな! お前に何ができる!」
「全ては戦の後に。今は猿飛様の傷を癒し、命を長らえさせます。お覚悟を」
傷口からだらだらと血を流しながら、口から泡のように血を噴き出しながら、私の光は主の許へ走るを望んだ。だから、その願いを叶えた。私にはそれができた。
その代償は、あまりにも大きかったけれど。
タイトルの出典が漢書なので無双の調べ物ついでにごぞごぞ手を出すと思いますが、どう崩壊させるかまだはっきり決めていないので予定は未定。他に書きたいものいっぱいあるし、旅行記も書きまくりたいし、これは後回しですな。
「壺中天(TEST TYPE-01)」(猿飛)
戦国、主人公設定特殊、どう頑張ってもバッドエンド。
名前の部分は一人称にしてあります。
この枯れ井戸の底に身を落としてどれほど時間が過ぎたのか、私にはもう判らない。数えるのは数年で止めた。私の身をこのようにした張本人は既にこの世の人ではないだろうことだけは判る。
毎日太陽が昇ると井戸の途中までを照らして沈み、冴え冴えとした月明かりも底までは届かない。星だけを眺めて過ごす。凡その事態には動じないし、何も感じない。いちいちそんなことを気にしていては身が持たないと早々に知った。
それなのに、井戸の底まで照らし出す光を私は見てしまった。唯一無二の存在は太陽でも月でもなく、平平凡凡な子供であった。だが、私にとっては光そのものだった。その光に縋るように、私は外法を使って外見を変え、ずっと後を追ってきた。光は影になったというけれど私からすれば光のままだし、一人の女に会うたびにからかい交じりに想いを伝え、私のことは見ていなかった。それでよかった。それは存在しているだけで私の光なのだ。
猿飛佐助という名の男になった光の下で、私は忍として仕える。己が外法の使い手だと忘れてしまうほどの時間を忍として過ごしてきたような気がしていた矢先のことだった。私の光を外法に落とし込んでしまったのは。
悔やんでも悔やみきれない。だが、そうしなければ私の光はそこで消えていた。引き換えに、猿飛佐助は不老不死の身となった。――私の後を継いで。
「これから何があっても幸村様とお館様をお守りくださいますか! 彼の方々の死を受け入れる覚悟はおありですか!」
「覚悟も何も、最初からそのつもりだ……!」
「その言葉に嘘偽りはございませんね!」
「あるわけ、ないだろ……」
「――主を失い、おのれのみが生き続ける苦しみを永劫味わうことになっても、ですか」
「いいさ、今、旦那の許へ走れるんならな! お前に何ができる!」
「全ては戦の後に。今は猿飛様の傷を癒し、命を長らえさせます。お覚悟を」
傷口からだらだらと血を流しながら、口から泡のように血を噴き出しながら、私の光は主の許へ走るを望んだ。だから、その願いを叶えた。私にはそれができた。
その代償は、あまりにも大きかったけれど。
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